切開重瞼術(2022年3月31日改訂版)

こんにちは、東京・神奈川で二重形成・クマ・まぶたのたるみ・眼瞼下垂の治療する治療を行っている形成外科・美容外科眼形成外科の奥村仁です。

今回は切開重瞼術についてお話しします。

目次

①手術適応

②手術方法

③術後ケア

④術後経過

⑤合併症

手術適応

ブジーという針金のような器具をまぶたにあてて,眼をあけてもらい,患者さんの好みの幅の二重をつくります.その状態でブジーをはなして,二重が保たれるのであれば,埋没重瞼でも比較的長く二重が持続しますので,いい適応となります.ブジーをはなして二重がすぐとれてしまうのであれば,まぶたの中の脂肪量が多いか,二重を作る位置の下まで脂肪があるタイプの人が多いので,脂肪をとることができる切開重瞼のいい適応となります.

詳しくは,重瞼術の選択の投稿をご参照下さい.

手術方法

切開重瞼術は,皮膚を切開して,二重を作る方法です.挙筋前転を一緒に行い,瞼の開きをよくしたり,脂肪を適切な量切除する事で二重になりやすい構造に変える事が出来ます.半永久的にその二重が持続しますが,生まれつき二重の人と同様に加齢による皮膚のたるみや,二重の折れ返る位置が変わったりする事はあります.

デザイン

患者さんに手鏡を見てもらいながら,ブジーという針金のような器具を使って二重を作り,希望の幅や形を確認します.デザインには時間をかけて,納得がいくラインを探します.好みの二重が決まったら,ブジーを当てた部分にペンを使って,マーキングします.この時に,左右差が少なくなるように,キャリパーという精密に距離を測定する器具を用います.

麻酔

手術は局所麻酔で行います.切開をいれる皮膚に直接麻酔を注射します.できるだけ細い針で,ゆっくりと麻酔を注入することを心がけています.その後,麻酔が十分に効くまで待って手術を開始します.

切開、縫合

皮膚を切開後に,瞼を開く筋肉(上眼瞼挙筋)から伸びている腱を見つけます.その腱を皮下組織(眼輪筋上筋膜)に縫い付けて,二重を形成します.上眼瞼挙筋の動きが悪く,瞼の開きが悪い人の場合は,眼瞼下垂手術と同様に,腱を睫毛側に引っ張って,瞼板という軟骨に糸で縫い付け,開きを改善します.

瞼の脂肪は場所によって,皮下脂肪,隔膜前脂肪,眼窩内脂肪と呼ばれます.とくに眼窩内脂肪は,量か多すぎたり,切開線からはみ出す位置まであると,二重になりにくかったり,切開しても二重が取れてきてしまうため,二重になりやすい構造に変える目的で,減量することがあります.眼窩内脂肪は加齢とともに委縮していく可能性がありますので,取りすぎには注意します.(場合によって,後日,取り足す手術を追加することもありますが,取りすぎた脂肪を元に戻すのには移植が必要となり,修正が大変なため,取りすぎないようにすることが重要です.)眼窩内脂肪の減量は,厚ぼったいまぶたを薄くする効果は若干ありますが,厚ぼったいまぶたの原因は,眉毛の位置が低くて目と近いことや,他の部分の脂肪(隔膜前脂肪,皮下脂肪)の量・範囲も関係しているため,眉毛の位置を上げる手術や,隔膜前脂肪を減量する手技を追加しないといけないこともあります.

最後に座ってもらい,本人に手鏡で二重のカーブを確認してもらい問題なければ終了です.手術時間はおよそ1時間くらいです.

まぶたをよく冷やして,帰っていただきます.

術後ケア

抜糸(術後5〜7日)までは,出血や血腫などの予防として顔が赤くなるような行為(運動・飲酒・入浴など)は控えて下さい.

腫れ(腫脹)の予防のために,患部周辺を,よく冷やして下さい.特に術後3日間はアイスノンや保冷剤,冷たいタオルなどで冷やして下さい.また,横になると,顔がむくみやすいので,日中は座位で冷やして下さい.


シャワー浴や洗顔は,手術の次の日から可能です.顔を洗う時に一緒に,傷周囲の軟膏や血液をやさしく洗い流して下さい.術後3日以降は石鹸で傷も洗って頂きます.(消毒の必要はありません)眼軟膏を塗布していただきます.

傷の周辺のアイメーク、コンタクトレンズは、抜糸まではできません.抜糸してからも,メークを落とす時,コンタクトレンズを外す時に傷が引っ張られないように十分注意してください.

術後診察

抜糸後の診察は,通常3回行います.術後1ヶ月,3ヶ月,6ヶ月に受診して頂きます.

術後経過


⑴腫れ(腫脹)術後3日間(出来れば抜糸まで)は,出来るだけ座位で患部を保冷剤,アイスノン,氷水の入った袋などで冷やす事により,腫れを抑えられます.術後1〜2日目がピークで,徐々に引き,術後7日目(抜糸時)ではよく冷やしておけば,7割程度良くなっています.完全に腫れが引くには2〜3ヶ月要します.
⑵内出血(皮内・皮下出血) 内出血は範囲・量により変わりますが,回復するまで,1〜2週間を要します.手術ではバイポーラーという器具を用いて丁寧に止血します.特に術後2,3日は瞼を動かさずに,圧迫しておき,血流が良くなるようなこと(入浴,運動,飲酒など)を避けていただきます.
⑶傷の色(赤み)傷の赤みは,術後1ヶ月位をピークに徐々に引いていき,術後6ヶ月位かけて白くなっていきます.
⑷傷の固さ(硬結)傷の周囲は,治る過程で硬くなり,硬結と呼ばれます.赤みと同様に,術後1ヶ月位をピークに徐々に軟かくなっていきます.

合併症

術後出血・血腫

血液が皮膚の下にたまって盛り上がることを血腫(けっしゅ)といいます.術後出血・血腫の予防には,内出血の予防と同様に特に術後2,3日瞼を動かさずに,圧迫しておき,血流が良くなるようなこと(入浴,運動,飲酒など)を避けていただきます.

⑵感染

感染の予防に,洗顔する事で傷を洗浄して清潔に保っていただき,抗生物質を内服して頂きます.

⑶左右差

デザインや手技の問題で左右差が出ないような手術を心がけています.術前から,表情の作り方や利き目などで,開瞼・眉毛位置の左右差は,生理的に殆どの人に見られます.開瞼が強いと二重幅は狭くなりやすく,眉毛位置が高いと二重幅は広くなりやすいです.埋没では治せない開瞼の違いは,切開手術の場合は,挙筋前転を併用して修正する事が出来ます.

最後に

二重まぶたの手術をお考えの方は、こちらからお問い合わせください。

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